2016年4月より、佐藤可士和氏率いる株式会社サムライ のメンバーとして活動していくことになりました。>「ご挨拶とご報告」

ショップにモニターをインストールするということ

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at October 1, 2010

ジンズ豊洲ららぽーと店は本日10/1にリニューアルオープン。

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インテリアデザイン:インテンショナリーズ 鄭さん・増田さん・相楽さん (私この会社のOBです)
インタラクティブ・コンテンツ:tha 中村さん・北田さん・北村さん
アートディレクション;タイクーングラフィックス 宮師さん
イラスト:白根ゆたんぽさん

そんなに大きなショップではありませんが、豪華な布陣で臨んだリニューアルプロジェクトです。
デジタルサイネージ全般を、どのように空間と適合させて、結果としてショップの付加価値を上げて行くのかが弊社に課せられたミッションでした。空間設計と、デジタルコンテンツの間にある溝(結構深いと思います)を埋めるお仕事です。

最近、商業のテナントではモニターを設置するケースが多くなってきました。
一般的なメリットは
・物理的なスペース圧縮して、広告としての視覚情報を流せること。ポスター一枚分のスペースでもタイムラインの組み方でその10倍以上の情報量を訴求できる。
・動く映像はキャッチーなので目を惹く。
というところでしょう。よくあるケースは、アパレルショップだとファッションショーの画像が延々とループしている等があげられます。

ただ、かなり大きなデメリットも露見してきていて
・コンテンツが飽きる。CMだけとか、ショーだけとか延々ループしていても、早々に訴求力を失う。かなり早い段階で背景としてのBGM+画像という存在に成り下がってしまう。
・目立たせようとすると、「モニター空間」になってしまう。結局店内のいたるところにモニターを設置しましたよ!とか、大きな壁面にプロジェクターで画像流していますよ、ということになる。
・そんな時代は体験していませんが、テレビの野球中継を皆が見に行くことで成立する蕎麦屋と同じような状況です。効果をさらに得ようとしたら、モニターの量とサイズを上げることでしか解決できない。

今回のケースは、豊洲ららぽーとというSCに入る店舗。低単価だが上質の眼鏡を販売する為に、店舗に課せられるミッションもハードルが高い。

・低単価であるが、品質がとても高いことを訴求したい。高級感あるショップ作り。
・ショッピングセンターへの出店であることで、老若男女すべての人に対して魅力的であること。

高級感の表現、高い年齢層への訴求は、インテンショナリーズのインテリアデザインでほぼ満たされている部分です。木質を中心としたすっきりした空間と、凝ったディティールの什器がそれを可能にします。
一方で、「老若男女が入りやすいショップか?」と問われるとそれは少し難しい状況でした。
空間のシャープネスや、高級感がお客さんをフィルタリングしてしまう事が予測できていたため、「女性とか、若年層への訴求をなんとかしないと」というのが割と初期からチーム内の共通認識としてありました。
この二律背反は商業デザイナーにとっては常に悩みの種です。格好良くすればお客さんは入りにくいし、かと言ってディチューンしたデザインもまた、人の心には響かない。不思議なオリジナリティ、なんとも説明のつかないデザインテイストの店舗が多い理由の一つが、このジレンマにあるのです。

このジレンマに真っ向から解決を計ったのが今回のプロジェクトです。空間の設計者である僕として、一番拘ったのがモニターを分割配置することでした。テクニカルな内容やコンテンツとの擦り合わせで現状の17インチx12面に落ち着きましたが、ここが大型のモニタ一台となったら、この企画は成立してないと考えていました。
コンテンツは眼鏡 -> 顔に注目。人の動きに併せて顔や目の表情が変化していきます。ここは僕が説明するよりthaさんの解説を待つべきなので特に詳細は記しませんが、一見すれば説明の必要がないくらいに明確です。ずっと見ていると時間が過ぎて行きます。

「イラスト」を展開して行くという方針は、タイクーングラフィックスさんによるもの。モデルを使うとモデルの印象が固定されてしまい、訴求のレンジを狭めることと、イラストであれば順列組み合わせに依って多くのバリエーションを生成できるし、その分のモデルのコストも削減が可能になる。また、イラストレーターの起用は他の眼鏡ショップではない切り口です。このイラストがあったからこそ生まれたコンテンツです。

白根さんのイラストは空間に彩りを付加してくれました。顔の存在を強烈に認識させながら、眼鏡もちゃんと視認できるイラストに仕上がりました。なにより、選んでいただいたカラーコーディネートがショップの色味ととても巧くマッチしていて、ポップすぎず、落ち着きすぎず良いバランスになりました。

昨日はプレオープンで、仮囲いをはずしたのですが、通りすぎるキッズ達は嬌声を上げて戯れていました。上の写真はそれ。仕込みではないですよ(笑)
ITLの鄭さんも「これがなかったら成立しなかったね」とのコメント。
オープン後一定期間を経て、お客さんの目線で改めて評価がなされる訳ですが、現段階では成功した試みだと思います。

皆様、是非足を運んでみてください。

そして、現状での課題とか次で解決したい所もいくつか(いくつも)あるので、あえてここに記しておこうと思います。提案したものの、実現できてない部分も含めてさらに進化を目指したいと思います。

・店頭のコンテンツの訴求効果を、店内への引き込みにも使うべき。店内モニターへこのコンテンツを流せるようなモニタサイズと配置を検討。今回で言えば奥の壁面の上部とか。
・iPadを使用した店頭ポップに関してはまだコンテンツが揃ってない事もあるのだけれど、空間への設置方法はもう少し検討が必要。ここはインテリアデザインとしての細やかな設計が必要な所。インテリアデザイナーとの連携・おさまりのアドバイスを積極的に伝えないとiPadの奇麗さをキャンセルする方向になってしまっている印象。
・ウェブカメラの設置方法も検討が必要。最適化処理はロケーションによって行っていくのですが、カメラの取り付け方法や位置は空間としてもう少しスマートにできる部分だと思います。

さて、ブラッシュアップ。

SD review 2010

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at September 27, 2010

ヒルサイドフォーラムで開催されていたSDレビュー展に行って来ました。

SDレビューの面白い所は実施を前提とした案件のドローイングと模型で表現をするという点で、禅問答に近いような純度のアンビルドのプロジェクトの展覧会よりもいくぶん泥臭さが強い。

建築・環境・インテリアの分野であれば、本来ボーダーレスに応募できる開かれたものなのですが、15点の入選作品のうち、内部空間をほとんど表現されてないものは2案しかありませんでした。逆に、ランドスケープデザインの領域に近い物も2(or 3)案程。もちろん、この数字は僕の解釈なので人によっては前後するでしょうが、傾向としては「複雑で高密度な内部空間形成のためのレールをどうやって敷いたか」を見せてくれる展示が多く印象に残りました。
しかも実施前提のものなので、かなりのリアリティを持って建築家やデザイナーの意志が迫って来るのを感じます。

実際、建築程「コンセプトモデル」と「実現形」の乖離が激しい分野の創作分野を僕は知りません。スケールという概念がこの乖離を産み、正統化する免罪符にもなっている。勿論そこは、建築の面白さの一面でもあるわけです。
人間が一度に知覚できる領域は個人差はあるものの結構狭いもので、それ故、経済原理の最先端にある商業ビルの外観はサイン以外はそれほど重要なエレメントとしては扱う事はレアケース。実際に訪れたことのあるショッピングセンターのトイレの様子は覚えていても、外観はサイン以外全く覚えていないこと良くあることだと思います。つまり外観等「どうでもいい」事柄として処理してもそもそも知覚が難しいだけに明確に否定も肯定も根本的には難しいのです。

同様のことはもっとモニュメンタルな建物でも起こりうる。例えば「繭」をメタファーにした建築を、技術の粋を尽くして可能にしたとする。
フォルム優先でGRCでも、繊維感を優先してフレームをランダムにして鉄骨の籠に囲まれたようなものでも。具現可できれば確かに巨視的には繭形なんだけれど、いざ空間を体験すると、それはコンクリートであり鉄の固まりでしかなくなってしまう訳です。[非]建築の方からすると「なんか面白い形の建物できたな・・・」とか言われてしまう。

少しネガティブな書き方をしましたけど、この状況はある一定以上の大きさの空間を作る必要に迫られている我々にとっては、多かれ少なかれ感じるジレンマなのです。我々のような小規模の案件を扱う事務所でさえ,毎回この壁にぶつかります。
SDレビューはこの乖離を最終的にできるだけ少なくするのか、新たな価値に昇華させるのかは別にして、そこに唯一の形を与えた執念が垣間見える良い展覧会。
少しぐったりとした気分で会場を後にしましたが、天気も良い代官山の街を歩いてカフェラテ飲んだら気分上々でした。
これもまた、環境や空間の持つ真実の一つ。

この乖離をそもそも発生させないために、設計上の決定のプロセスに集合知を利用する試みも行われてきています。そもそも最初にコンセプトモデル等提示しなければ結果との乖離も発生しない訳で、これは実際かなりコペルニクス的な発想です。新しい聖域。これもまた、真実。

iPad x Office

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at July 29, 2010

そんなくくりでの公開シンポジウムに、インターオフィスさんから声をかけていただいて、ちょこちょこ準備を始めています。というか始めました。
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location協力:thaさん
model:ericaさん
撮影:a-study

実際に触っていると、やっぱりこのツールは「2人以上10人未満」のコミュニケートに秀でている。
ルイスカーン設計のソーク研究所には、黒板の様に使えるスレート壁が巡らされているのだけれど、そんな場所にこのプロダクトはなり得るんじゃないかななどと思ったりする。

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シンポジウムは無事に終了でした。このiPadスタンドはなんだかとても好評。商品化に向けて準備を進めています

assistantさんのワークショップに行きましたよ

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at July 1, 2010

x2tokyoで行われましたassitantさんのワークショップに参加。
x2tokyo_lab_start
内容とか、他の写真はコチラ。→ READ MORE… »

stand for ipad

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at June 14, 2010

ipad_stand

ipadをショップ等パブリックな空間にインストールするためのスタンドをデザインしています。
ホームボタンを押させない様にする工夫や首振り機構など解決する点は多いのだけれど、カメラの自由雲台を使って解決できそう。

今はスチールの予定だけれど、支柱を思いっきり細くしてカーボンにして、タッチしたらしなってモーションセンサーを利用したりすることも出来そう。

おそらくここ数年でデジタルデバイスによるショップのプランニングルールは劇的に変わっていくと思っていて、基本的にはこのような物だと思う。


デジショップ

ショップのVP機能は分散し、在庫の管理機能の一部を担う事で、よりダイレクトな商品の店頭広告が可能になる。なにより特筆すべきは店舗面積が小さくなることで、より条件の良い場所へ小さい出店を可能にできるだろう。余剰コストを空間の質の向上に使うのか、それともより多くの出店を狙うのかという選択肢も増える。

さらに大型の店舗は、店頭検索、コーディネートのスペースと、商品の陳列を分割して考える事で違う風景が産まれるだろう。


デジショップ2


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検索に使用するデジタルデバイスと、リアルな商品を手に取る検索ゾーンの内部に、オープンストックを持つ。より高効率なショップも産まれて来るだろう。同様の変化はオフィスや住宅にも現れて来るはず。これはまた改めて・・・。

ちなみに、冒頭のスタンド。自由雲台を使う仕様なので、こんなこともできる。
インスタレーションとかエッジの効いたショップなんかにどうでしょうか!
4_ipad

ワン・ショット

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at June 4, 2010

カメラを変えました。DP1s / sigma。AFが遅い、ズームがない、書き込み速度が遅い、液晶が暗い、F値が高いとか、レビューでは言われている。

RAWでの撮影を想定して作られたこのカメラは、根本的にスナップを指向しているわけではない。その領域はあっさりと割り切って、撮影という日常にデザイナーとして必要な決断力を都度要求するように作られている、ような気がする。職業的にも真っ直ぐな立体が真っ直ぐに写るのはとても助かる。

とりあえずパシャパシャ撮っておいて後で比較検討によってセレクトする気軽さはなく、諸条件をクリアした上での慎重な撮影が求められる。そういう意味でシャッターが重い。プロフェッショナルなフォトグラファーはRAWデータをリアルタイムでPC上でセレクトをかけていく撮り方をするけれど、そこまでのパワーはこのカメラは勿論持っていないし。
ブローニーフィルムで撮影するのに似た緊張感。もっともブローニーのようにミス=フィルム代/ラボ代が・・・というリアルな損害はないのだれけど。

いろいろと不自由はあるのだけれど、このカメラを持つのは修行的要素が強い。フォトグラファーではない我々に決断の慎重さ、キメのワン・ショットを指向するその姿勢を忘れさせない為には、このカメラは素敵なツール。

そして、先日、昔少し一緒に働いたことがある知人のシェアオィスの内装をちとアドバイスさせてもらいました。

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デザイン:スタッフ mamotomam
棚取り付け:施主矢崎さん
塗装:塗装やさん

もともと学校だった建物を再利用しているアーツ千代田3331内。
学校だったということで、左手の壁(一部mujiの棚)は、全部黒板塗装で塗り込めてもらった。ここには黒のプロダクトが置かれ、黒の凹凸の世界が今後展開されていきいます。
そして、この黒板に手書きという緊張感は少し懐かしいし、学校で指名されたみたいな緊張感もあるだろう。どんなにラフに書いてもいいのだけれど、CPUのサポートは一切ない。
全てが自分の筆圧と手の移動でコントロールされるダイレクトなインプット=アウトプットがこの壁をどうやって変えていくのか、何かが問われる場所になりますね。変遷が楽しみです。

夏が来ますね

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at May 21, 2010

・本日は上向きベクトルな気候。夏っぽい。次の仕事は川とか海のそばがいいなぁ。いっそ引っ越すか・・・。我々のいる城南地区も海のそばですけどね。

・こういう気候が続くと食事も変わる。キリッとした蕎麦と冷たくした微発泡日本酒のパーティーとかどうだろう?梅雨時期でもいいな。
 
・ジェームタレルの光の館に行きました。天気にも恵まれて堪能。「陰影礼賛」にインスパイアされて産まれた作品ですが、この暗さはとても根源的な問い。どうしてもプロフェッショナルとして光源の種類とかにこだわってしまうのだけど、それより明るさの絶対値を全体で下げていくほうが空間の質感、環境配慮、コスト等には本質的に有効ですからね。この施設にはけっこうちゃんとしたキッチンがついていますのでみんなでわいわいと料理してくつろげます。

・家具工場のチェックでいった福井は現地滞在1.5時間。

・引き渡しでいった鹿児島は、地元愛にあふれる熱い人々がたくさん。シロクマの剥製にも会いました。トラムやバスがかなりちゃんと機能している。これは長崎も同じだけど、都市としてとても魅力的だ。地下鉄の動線の煩雑さは弱者にも優しくないし、移動がまったく楽しくない。移動すること自体の悦びがない。

ミッドタウン デザインハブ21-21のポスト・フォッシル展に。どちらもグラフィックのユーザビリティーへのケアが欲しいと思った。図表とかパンフが見にくい・・・。が、うちも物件のサインの文字を極小にしたら「サインは見えてなんぼ」と言われた。そうですよね。

カプーアを見たい。備忘録代わりにここにメモ。

花見

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at April 10, 2010

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会社の目の前は花見の穴場スポットだったりする。
普段お世話になってるみんなと花見。気合いいれて料理は二日前から仕込みます。
今年はジェネレータを持って来てもらったり、椅子テーブルもちゃんと出したりと微妙やりすぎ感もあるが、ま、もてなす側のが好きなので...。
みなさんお土産ありがとうです。お酒、デザート、卵焼き・・・。
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北陸紀行

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at March 10, 2010

土日の弾丸ツアー社員旅行?で福井から金沢へ。

・まずは福井工科大学へ。OBの川島氏が教授をされている。アスプルンドの研究の第一人者でTOTO出版からきれいな写真集も出されてますね。
川島さんが旧校舎の内部をリノベーションした学科を拝見。学部生からこんなスペースの与えられてるデザイン学校ないよなあ..というクールなスタジオ。こういう積み重ねが将来を産むのだろう。

アスプルンドの研究というのは正直学生の時には反応できなかった。実務に携わって、別荘等を手がけるうちに建築の基本要素_床/壁/天井/建具/等々_というエレメントをいかに詰めていく必要性を感じてから初めてそのすごさが解る。

コンテンポラリーな建築論からは亜流かもしれないけれど、突き詰めればいわゆる建築の良さとかは1枚の建具にだって込める事はできる。

・夜は福井で日本海の海の幸堪能・・・ノドグロ煮付け美味すぎる・・・。ここ10年で一番呑んだと川島氏に言わせるくらい呑む。日本酒はすごい。

・翌日は隈研吾さんの開花亭、槇文彦さんの県立図書館を見てから金沢へ。

・21C美術館のオラファーエリアソン(これが旅のメインの目的だったのだが)を見る。
 建築やらインテリアやらの「デザイン」と「アート」をひっくるめて社会に溶かしてくれそうな世界。時代が待ち望んでたスーパースターの出現。
 非美術・非建築の(らしく見える)人々でこれほど賑わう美術展は古典以外では見た事がない。

・アスプルンド、槇事務所、sanaa、の順序で建築を認識するのは正直厳しかった。
21C美術館は再訪だが、前回よりとても好印象だったのはもちろん展示との相乗効果だろうし、その点はコンセプト通りなのだが、物質の密度や重力から逃れられない地球の建築の性を否定することは難しい。

・その流れの中、隈氏の作品のみ別の文脈だった。圧倒的に軽い。石を使おうが、無垢材を使おうが関係なく、軽い。違う重力で生きてるのかもしれない。そこに幻想を共感できるのが故、商業のクライアントが引く手数多なのかもしれない。

・アバターを想い出した。青い人・・・。

archibau賞:講評

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at February 23, 2010

大学のOB会組織による学生の卒業設計の審査があった。
OBの出自もいろいろなので、学内の選考とは勿論違いがでるところが面白さではないかと思う。
1分+5分プレゼンというやり方は、すごくせわしない評価になってしまったし運営としての反省点も多い。
なにはともあれ、学生さん/OBの方々お疲れさまでした。
私はOB会理事なので、ここまではオフィシャルな立場で。

以下はデザイナーとしての「俺的」感想。よって組織とはなんの関係もないと思って下さい。

評価サイドの問題として
・評価の軸となるクライテリアがない
・応募要項に「何を評価するのか」という明確な問題提起がない
・特定の人間しか質疑しない(これは途中でやめるようにしましたけど)
・質疑に依る誘導もある。これだったらOBの個人賞とかのがいいんじゃないか?
・部門賞もいいかな。構造賞とかデベロッパー賞とかシステム賞とか。

審査結果は民主的集計結果なので、もちろん校正だけれど、社会的バリューから見ると「相当に意外」だった。

学生サイドの問題として
・評価者が民間の実務者だということを忘れてない?そこにささる内容をプレゼしないとダメ。
・1分プレゼンで伝えられる事はぶっちゃけ「メイン1言+裏付け3コンテンツ」ぐらいしか無理。詰め込み過ぎ。キャッチがないと記憶に残らない。
・「それは次のプレゼで・・・」とか言わない。次ないかもしれないんだから、さっさと回答する。
・投げやりにやらない。実際にはあら探ししてるわけじゃなくて、会話の中で「いいとこ探し」をしてるのだから。優位性のみを端的に伝えればいい。

個々の案への感想。
質疑聞きながらメモした内容ほぼそのままなので、ラフですいませんが。なにかに生きると良いです。

・竹内さん
成長の受け皿が書架であることのみでは少し弱いか?
苗木、畑、収穫祭などに言及するならランドスケープとの連携で成長過程を空間に取り込むような工夫を求む。内装での成長のプレゼンも可能だったかな。

・山田さん
オーバルプランの集合は良さげに見えたが、ちゃんと認識できなかった。
システム論としての食育都市は、今現在、禅思想/マクロビオティック/なんかがこれだけ浸透している現状で、土壌自体や流通のロジスティクス、等に言及しないのは不自然。範囲が狭い感じ。

・木村さん
森林再生の為に、森に住む必要性をプレゼンして欲しかった。こちらも流通のコントロールのほうが実際的には母集団が大きいので効果的という一般常識を持つ前提で案を見ているので。むしろツリーハウスや形態から垣間見えたポティックさと実生活の感性的部分に価値があったように思う。
そのためには建築設計としてのツメが必要?このへんは学部の差なのかな?月並みですがNAPさんのダンシングツリー・シンギングバードを想起してしまった。

・斎藤さん
双方向の情報のための場所、というのがもう一歩すすまないとオリジナルなアイディアになりにくい。
「双方向・インタラクティウブ」というのは流行言葉みたいに使用されてしまうけど、一般的に建築形態を取る物は殆どがスタティックなもの。人間と建築をつなげるデバイスをうまく空間に取り入れないと。もしくはもっと吸引力のあるなにかアイコン。古典的な広場なんかの言語に隠されたエッセンスも有効かもしれない。

・平山さん
へんに有機的なデザイン処理をしないのは◎。単純なルールから発展する空間は一定の複雑さも持っている。テクスチャーの変化を利用して・・・ということだったので、そこをもっとしっかり見たかった。土をつかうとか・・。沢瀬学さんの仮設の版築プロジェクトや青森県立美術館のトレンチなんかは参考になるかも。地面に潜る感じもアリかと。

・河内さん
陶板が表札だけというのはもったいない。表札棚も実際に機能しそうにないし・・陶板けっこう重たいから持ち歩きたくないかも。素材を住民参加のエレメントとして利用して行く事例としてワークビジョンズ設計の岩見沢駅舎(今年度のグッドデザイン大賞受賞)がある。もっとそのエレメント=陶板がスプレッドしないと地場の産業を使っている感じはでないのではないだろうか?システムとしてもワークビジョンズの物件はウェブサイトとの連動が計られているけれど、特に地域的に不利な場所でもあるのでそういったアイディアでフィジビリティーを増す必要性を感じる。

・羽鳥さん
普通の集合住宅との違いが明確ではなかったかも。ガーデンと名打つからにはその独自性が求められるけど、見た事あるなあ、という印象。集合住宅として庭を重視した作品は沢山あるので、そことコミュニティーがちゃんとリンクしていることのオリジナリティーをプレゼンして欲しい。

・梶原さん
このアプローチは別荘の設計手法とほぼ同一だろう。その分、アプローチ、エントランス、ビュー、その帰りと細やかな視線制御が必要だし、今回はその他に3棟に分けた事で視線制御のパラメーターは難しさを増したはず。
その細やかさを伝えてほしかったのだが、幾分乱暴に見えた。それこそ「超線形プロセス」的な検証数から導かれる最終の結果としてのフレーミングを提示しては?

・海野さん
東京スタイルとしてサーフェイスとしての広告にフォーカスするのは、実際には価値の半分。広告の意味をしっかり考えれば東京の優位性としてのコンテンツの重層に気がつくだろう。内部空間はその点で意図的か偶然かどうかはともかく重層性がある。建築としてのフィジビティとしてはツッコミどころが満載だけれど、むしろ不動産としてのバリューが、従来のSCやテナントビルと比べても存在する事をしっかりと考察/調査してプレゼンすべきだったと思う。

・鈴木さん
デジタルデバイス=PCのみということはないと思うので、もっと現代のテクノロジーを積極的に用いて欲しかった。RFID、画像認識プログラム、マルチタッチ入力、etc…最もこの分野とリンクする建築プログラムだろう。大画面のメディアテーブルの上にいっぱい検索資料を広げてその上で作業するなんていうのはそのうち図書館のデフォルトになるだろうから。勿論その上にリアルな本やモックアップもあるイメージ。

・田島さん
正直講評が難しいケース。建築としてのきれいさと表現を持つ一方で既視感が強い。編集=設計であれば正解かもしれない。 ネーミング->問題提起から->なにゆえこの形を産み出したのかというプロセス、もしくは、この空間が実際に利用者の行動をどう喚起していくのかを丁寧にプレゼンしてほしい。
平田章久さんの”animated”論のように、結果として小さい土地面積に複雑な空間をもたらすバックボーンを持って臨めば都市論としても違う評価になるはず。

・勝浦さん
殆どのOBが実際の興味は、「どうやってこれ運搬して積むの、繋ぐの?」っていう技術的側面。予測してプレゼンしてほしかった。問題提起から仮設コンテナの利用迄の価値は10秒で理解できるので、残りの50秒をどうつかうか・・・。実際的な考察をしているのだから、そこのダイジェストを見せて欲しかった。都市的なスケールになるので、仮設といえども3原色が中心のカラースキームには疑問があるのでそのところも聞いてみたかった。

・福地さん
レアメタルの再生だとかよりも、携帯墓場としての彫刻性のバリューを見いだしたいところ。
場所の設定とかフォルムとか、そういった可能性ある形をしているのだけれど。。。良い意味でのフォルマリストとしての素養が見えるだけに、プレゼンが「再生の価値」「空間性」どっちつかずだったのが残念。ひたすらに形態をブラッシュアップして廃棄携帯へ対しての批評性が感じられる様な建築になればいいなと。「空間性」でいいきる設計は現代まったく評価されないらしいけど、解った上であえて正面突破という道も卒制としてはダメ?(じゃないよね)

・久保田さん
プログラムに破綻がない分、個性派ぞろいのなか埋もれてしまったかもしれない。
外部というよりはインテリアデザインとしての評価をしたいところなのだが、細やかな設計をしている割にティピカルなインテリアデザインであるのが悔やまれる。
プログラムに機能に添った解決なのだから、その機能をもった新しい形のインテリアの表現が必要。
普通に椅子/テーブル/棚/キッチンなど一度その機能を分解したうえで、再編集する新しい内部空間を見せた欲しい。

・内田さん
質の高いコミュニティーを持たせる為のコレクティブハウスの解法として、ランドリーとピロティーに着目をしたのはその土地に住んだからこそのアイディアで個人体験としてのリアリティを感じる。
一方シンガポールのバロック様式?(本当?)がソースとの建築自体は割と植民地化された南方のアジアでは良く見られる形態に見えてしまうのだが、軒の短さだったり、オープンデッキは暑くてどうなんだろうとかの疑問も。
また、都市住宅としてのもっと高密度化は避けられないようにも思うが・・・富裕層向けではなさそうだし。そういった現在のコンテクストを、現在の建築言語「も」取り入れながら建築にして欲しかった。未来の為には。

・内山さん
フォルムも表現も質が高い。惜しむらくは建築としてのフィジビリティがプレゼンされていない事。
このスケール感で集合住宅のファサードを成立させるためには、その裏側の計画をよほど旨くやらないと実現できそうにないのでは。書き割りっぽくみえてしまう。中間層に商業を挟んだりしても面白そう。

・伊藤さん
黒変態。エネルギーもあって興味はわく。こういった突き抜けた位相のアイディアはどうやって社会との接点をもさせたり価値を見いだすかという部分をもたない限りは評価軸にのりにくい。
建築も同じだけれど演劇によって何を表現したいのか・・・。プレゼ時間が短いので難しいかもしれないけれどシナリオライテイングがあれば、もっと良く理解できただろうと思う。

以上。

いくつかは、個人賞とかあげたいですね。

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