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FRAMED*のこと

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at March 10, 2012

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at goodbeer faucets β版が納品されています。

PCのモニタでもなく、テレビでもない。デジタルアート専用のプロダクト。それがFRAMED*です。

デジタルアートのクリエイター方々の立場からすれば、パソコンのデスクトップの中でしかそのパフォーマンスを発揮できなかった状況が大勢だったのではないでしょうか。
勿論プロジェクションマッピングや、デジタルサイネージの台頭で少しずつその領域は広がっていったのかもしれませんが、前者には常にロケーションの状況、後者には商用の広告機能最優先という足枷が大きかった様に思います。
僕らは、アート専用のプロダクトの供給によって、アートワークを物理的な室内環境へと繋げていくことを第一に考えていました。新しいカテゴリであるデジタルアートを、ちゃんとした形でプレゼンテーションできる場の創造です。
開発中、このプロダクト「環境装置」と呼んできましたが、その名の通り室内環境を演出する為のデジタルアートという定義付け=「枠」そのものなのです。FRAMED*というネーミングにはこういった意味合いも含まれています。


中村勇吾さんは、自ら手がけるするアートワークのモチーフとしてよく取り扱う時計について『「何の理由も、何のメッセージも、何のきっかけもなく、ただ単に動き続けていても、全く疑いを持たれず、存在を許されているもの」のアーキタイプ』と称しています。
FRAMED*のプロダクトも素性は同じです。空間の中にただ、存在を許されているもの。
観る人の感情を揺り動かすアートのパフォーマンスを十分に発揮させるために、プロダクトの存在感はあくまで余分を廃し、静謐に保たれるべきだと考えました。

正面には一切のボタンも、ロゴですら描かれることはなく、ガラスによる完全な平面があり、ベゼルと呼ばれる外枠との境目はミニマムに設計されています。ベゼルは傾斜の無いシャープな直角で構成され、純粋な直方体をなすディテールは一体ずつハンドメイドで製作されています。電解着色によって黒の染色を施したヘアラインのステンレスを使用。その確かな素材感が、質量ある高品質感を表現しています。

通常はあまり目にする事の無い背面には、排熱の為の開口があります。この開口はモールス符号によってプロジェクトチームのスタッフの名前がクレジットされています。
FRAMED*のプロジェクトが、クライアントからのオーダーではなく、中村勇吾さんをはじめとしたデジタルアートのクリエーションのフィールドを拡大し、様々なシーンへ展開して行く事を目的とした自発的なプロジェクトであることの象徴として、文字コードの原点とも言えるモールスでの署名をデザインに昇華しています。

そして、このFRAMED*は時に機能を持たせることが可能です。
iPhone、iPod touchによって操作される独自のインターフェイスには、再生リストの機能が組み込まれています。

将来的には、必要な際には特定の機能性が出現し、そうでない時にはアートになるような運用も可能となるでしょう。
アパレルのショップや美容院等の商空間に置かれる事で、買い物の仕方が変わったり、ヘアカットの段取りが変わる事で平面のレイアウトは違う発想になっていくはずで。ホテルの室内に置かれる事で、様々なホテルのコンシェルジュ機能を充足させながら、通常は「アート」であるような枠。

このFRAMED*によって新しいコンテンツの作り方のアイディアが産まれ、FRAMED*のフォーマットを使用した映画や、その為の映写室ができたり等。専用ショウルームの FRAMED*SPACE もそういった実験の場として存在しています。

このプロダクトを通じて、デジタルアートの枠組みも、空間デザインの枠組みも、共に進化していくことを目指しています。その立ち上げに携われた事は、空間のデザイナーとしての至福の悦びです。
さらに進化を遂げるべく、様々なアンテナを張りながら、プロジェクトの実践をしていきたいと思っています。

今後ともFRAMED*を宜しくお願い致します。

PDF download >
http://www.a-study.co.jp/wp-content/uploads/2012/03/120310_FRAMED.pdf

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