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ショップにモニターをインストールするということ

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at October 1, 2010

ジンズ豊洲ららぽーと店は本日10/1にリニューアルオープン。

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インテリアデザイン:インテンショナリーズ 鄭さん・増田さん・相楽さん (私この会社のOBです)
インタラクティブ・コンテンツ:tha 中村さん・北田さん・北村さん
アートディレクション;タイクーングラフィックス 宮師さん
イラスト:白根ゆたんぽさん

そんなに大きなショップではありませんが、豪華な布陣で臨んだリニューアルプロジェクトです。
デジタルサイネージ全般を、どのように空間と適合させて、結果としてショップの付加価値を上げて行くのかが弊社に課せられたミッションでした。空間設計と、デジタルコンテンツの間にある溝(結構深いと思います)を埋めるお仕事です。

最近、商業のテナントではモニターを設置するケースが多くなってきました。
一般的なメリットは
・物理的なスペース圧縮して、広告としての視覚情報を流せること。ポスター一枚分のスペースでもタイムラインの組み方でその10倍以上の情報量を訴求できる。
・動く映像はキャッチーなので目を惹く。
というところでしょう。よくあるケースは、アパレルショップだとファッションショーの画像が延々とループしている等があげられます。

ただ、かなり大きなデメリットも露見してきていて
・コンテンツが飽きる。CMだけとか、ショーだけとか延々ループしていても、早々に訴求力を失う。かなり早い段階で背景としてのBGM+画像という存在に成り下がってしまう。
・目立たせようとすると、「モニター空間」になってしまう。結局店内のいたるところにモニターを設置しましたよ!とか、大きな壁面にプロジェクターで画像流していますよ、ということになる。
・そんな時代は体験していませんが、テレビの野球中継を皆が見に行くことで成立する蕎麦屋と同じような状況です。効果をさらに得ようとしたら、モニターの量とサイズを上げることでしか解決できない。

今回のケースは、豊洲ららぽーとというSCに入る店舗。低単価だが上質の眼鏡を販売する為に、店舗に課せられるミッションもハードルが高い。

・低単価であるが、品質がとても高いことを訴求したい。高級感あるショップ作り。
・ショッピングセンターへの出店であることで、老若男女すべての人に対して魅力的であること。

高級感の表現、高い年齢層への訴求は、インテンショナリーズのインテリアデザインでほぼ満たされている部分です。木質を中心としたすっきりした空間と、凝ったディティールの什器がそれを可能にします。
一方で、「老若男女が入りやすいショップか?」と問われるとそれは少し難しい状況でした。
空間のシャープネスや、高級感がお客さんをフィルタリングしてしまう事が予測できていたため、「女性とか、若年層への訴求をなんとかしないと」というのが割と初期からチーム内の共通認識としてありました。
この二律背反は商業デザイナーにとっては常に悩みの種です。格好良くすればお客さんは入りにくいし、かと言ってディチューンしたデザインもまた、人の心には響かない。不思議なオリジナリティ、なんとも説明のつかないデザインテイストの店舗が多い理由の一つが、このジレンマにあるのです。

このジレンマに真っ向から解決を計ったのが今回のプロジェクトです。空間の設計者である僕として、一番拘ったのがモニターを分割配置することでした。テクニカルな内容やコンテンツとの擦り合わせで現状の17インチx12面に落ち着きましたが、ここが大型のモニタ一台となったら、この企画は成立してないと考えていました。
コンテンツは眼鏡 -> 顔に注目。人の動きに併せて顔や目の表情が変化していきます。ここは僕が説明するよりthaさんの解説を待つべきなので特に詳細は記しませんが、一見すれば説明の必要がないくらいに明確です。ずっと見ていると時間が過ぎて行きます。

「イラスト」を展開して行くという方針は、タイクーングラフィックスさんによるもの。モデルを使うとモデルの印象が固定されてしまい、訴求のレンジを狭めることと、イラストであれば順列組み合わせに依って多くのバリエーションを生成できるし、その分のモデルのコストも削減が可能になる。また、イラストレーターの起用は他の眼鏡ショップではない切り口です。このイラストがあったからこそ生まれたコンテンツです。

白根さんのイラストは空間に彩りを付加してくれました。顔の存在を強烈に認識させながら、眼鏡もちゃんと視認できるイラストに仕上がりました。なにより、選んでいただいたカラーコーディネートがショップの色味ととても巧くマッチしていて、ポップすぎず、落ち着きすぎず良いバランスになりました。

昨日はプレオープンで、仮囲いをはずしたのですが、通りすぎるキッズ達は嬌声を上げて戯れていました。上の写真はそれ。仕込みではないですよ(笑)
ITLの鄭さんも「これがなかったら成立しなかったね」とのコメント。
オープン後一定期間を経て、お客さんの目線で改めて評価がなされる訳ですが、現段階では成功した試みだと思います。

皆様、是非足を運んでみてください。

そして、現状での課題とか次で解決したい所もいくつか(いくつも)あるので、あえてここに記しておこうと思います。提案したものの、実現できてない部分も含めてさらに進化を目指したいと思います。

・店頭のコンテンツの訴求効果を、店内への引き込みにも使うべき。店内モニターへこのコンテンツを流せるようなモニタサイズと配置を検討。今回で言えば奥の壁面の上部とか。
・iPadを使用した店頭ポップに関してはまだコンテンツが揃ってない事もあるのだけれど、空間への設置方法はもう少し検討が必要。ここはインテリアデザインとしての細やかな設計が必要な所。インテリアデザイナーとの連携・おさまりのアドバイスを積極的に伝えないとiPadの奇麗さをキャンセルする方向になってしまっている印象。
・ウェブカメラの設置方法も検討が必要。最適化処理はロケーションによって行っていくのですが、カメラの取り付け方法や位置は空間としてもう少しスマートにできる部分だと思います。

さて、ブラッシュアップ。