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archibau賞:講評

Category: NOTEBOOK — Posted by SA at February 23, 2010

大学のOB会組織による学生の卒業設計の審査があった。
OBの出自もいろいろなので、学内の選考とは勿論違いがでるところが面白さではないかと思う。
1分+5分プレゼンというやり方は、すごくせわしない評価になってしまったし運営としての反省点も多い。
なにはともあれ、学生さん/OBの方々お疲れさまでした。
私はOB会理事なので、ここまではオフィシャルな立場で。

以下はデザイナーとしての「俺的」感想。よって組織とはなんの関係もないと思って下さい。

評価サイドの問題として
・評価の軸となるクライテリアがない
・応募要項に「何を評価するのか」という明確な問題提起がない
・特定の人間しか質疑しない(これは途中でやめるようにしましたけど)
・質疑に依る誘導もある。これだったらOBの個人賞とかのがいいんじゃないか?
・部門賞もいいかな。構造賞とかデベロッパー賞とかシステム賞とか。

審査結果は民主的集計結果なので、もちろん校正だけれど、社会的バリューから見ると「相当に意外」だった。

学生サイドの問題として
・評価者が民間の実務者だということを忘れてない?そこにささる内容をプレゼしないとダメ。
・1分プレゼンで伝えられる事はぶっちゃけ「メイン1言+裏付け3コンテンツ」ぐらいしか無理。詰め込み過ぎ。キャッチがないと記憶に残らない。
・「それは次のプレゼで・・・」とか言わない。次ないかもしれないんだから、さっさと回答する。
・投げやりにやらない。実際にはあら探ししてるわけじゃなくて、会話の中で「いいとこ探し」をしてるのだから。優位性のみを端的に伝えればいい。

個々の案への感想。
質疑聞きながらメモした内容ほぼそのままなので、ラフですいませんが。なにかに生きると良いです。

・竹内さん
成長の受け皿が書架であることのみでは少し弱いか?
苗木、畑、収穫祭などに言及するならランドスケープとの連携で成長過程を空間に取り込むような工夫を求む。内装での成長のプレゼンも可能だったかな。

・山田さん
オーバルプランの集合は良さげに見えたが、ちゃんと認識できなかった。
システム論としての食育都市は、今現在、禅思想/マクロビオティック/なんかがこれだけ浸透している現状で、土壌自体や流通のロジスティクス、等に言及しないのは不自然。範囲が狭い感じ。

・木村さん
森林再生の為に、森に住む必要性をプレゼンして欲しかった。こちらも流通のコントロールのほうが実際的には母集団が大きいので効果的という一般常識を持つ前提で案を見ているので。むしろツリーハウスや形態から垣間見えたポティックさと実生活の感性的部分に価値があったように思う。
そのためには建築設計としてのツメが必要?このへんは学部の差なのかな?月並みですがNAPさんのダンシングツリー・シンギングバードを想起してしまった。

・斎藤さん
双方向の情報のための場所、というのがもう一歩すすまないとオリジナルなアイディアになりにくい。
「双方向・インタラクティウブ」というのは流行言葉みたいに使用されてしまうけど、一般的に建築形態を取る物は殆どがスタティックなもの。人間と建築をつなげるデバイスをうまく空間に取り入れないと。もしくはもっと吸引力のあるなにかアイコン。古典的な広場なんかの言語に隠されたエッセンスも有効かもしれない。

・平山さん
へんに有機的なデザイン処理をしないのは◎。単純なルールから発展する空間は一定の複雑さも持っている。テクスチャーの変化を利用して・・・ということだったので、そこをもっとしっかり見たかった。土をつかうとか・・。沢瀬学さんの仮設の版築プロジェクトや青森県立美術館のトレンチなんかは参考になるかも。地面に潜る感じもアリかと。

・河内さん
陶板が表札だけというのはもったいない。表札棚も実際に機能しそうにないし・・陶板けっこう重たいから持ち歩きたくないかも。素材を住民参加のエレメントとして利用して行く事例としてワークビジョンズ設計の岩見沢駅舎(今年度のグッドデザイン大賞受賞)がある。もっとそのエレメント=陶板がスプレッドしないと地場の産業を使っている感じはでないのではないだろうか?システムとしてもワークビジョンズの物件はウェブサイトとの連動が計られているけれど、特に地域的に不利な場所でもあるのでそういったアイディアでフィジビリティーを増す必要性を感じる。

・羽鳥さん
普通の集合住宅との違いが明確ではなかったかも。ガーデンと名打つからにはその独自性が求められるけど、見た事あるなあ、という印象。集合住宅として庭を重視した作品は沢山あるので、そことコミュニティーがちゃんとリンクしていることのオリジナリティーをプレゼンして欲しい。

・梶原さん
このアプローチは別荘の設計手法とほぼ同一だろう。その分、アプローチ、エントランス、ビュー、その帰りと細やかな視線制御が必要だし、今回はその他に3棟に分けた事で視線制御のパラメーターは難しさを増したはず。
その細やかさを伝えてほしかったのだが、幾分乱暴に見えた。それこそ「超線形プロセス」的な検証数から導かれる最終の結果としてのフレーミングを提示しては?

・海野さん
東京スタイルとしてサーフェイスとしての広告にフォーカスするのは、実際には価値の半分。広告の意味をしっかり考えれば東京の優位性としてのコンテンツの重層に気がつくだろう。内部空間はその点で意図的か偶然かどうかはともかく重層性がある。建築としてのフィジビティとしてはツッコミどころが満載だけれど、むしろ不動産としてのバリューが、従来のSCやテナントビルと比べても存在する事をしっかりと考察/調査してプレゼンすべきだったと思う。

・鈴木さん
デジタルデバイス=PCのみということはないと思うので、もっと現代のテクノロジーを積極的に用いて欲しかった。RFID、画像認識プログラム、マルチタッチ入力、etc…最もこの分野とリンクする建築プログラムだろう。大画面のメディアテーブルの上にいっぱい検索資料を広げてその上で作業するなんていうのはそのうち図書館のデフォルトになるだろうから。勿論その上にリアルな本やモックアップもあるイメージ。

・田島さん
正直講評が難しいケース。建築としてのきれいさと表現を持つ一方で既視感が強い。編集=設計であれば正解かもしれない。 ネーミング->問題提起から->なにゆえこの形を産み出したのかというプロセス、もしくは、この空間が実際に利用者の行動をどう喚起していくのかを丁寧にプレゼンしてほしい。
平田章久さんの”animated”論のように、結果として小さい土地面積に複雑な空間をもたらすバックボーンを持って臨めば都市論としても違う評価になるはず。

・勝浦さん
殆どのOBが実際の興味は、「どうやってこれ運搬して積むの、繋ぐの?」っていう技術的側面。予測してプレゼンしてほしかった。問題提起から仮設コンテナの利用迄の価値は10秒で理解できるので、残りの50秒をどうつかうか・・・。実際的な考察をしているのだから、そこのダイジェストを見せて欲しかった。都市的なスケールになるので、仮設といえども3原色が中心のカラースキームには疑問があるのでそのところも聞いてみたかった。

・福地さん
レアメタルの再生だとかよりも、携帯墓場としての彫刻性のバリューを見いだしたいところ。
場所の設定とかフォルムとか、そういった可能性ある形をしているのだけれど。。。良い意味でのフォルマリストとしての素養が見えるだけに、プレゼンが「再生の価値」「空間性」どっちつかずだったのが残念。ひたすらに形態をブラッシュアップして廃棄携帯へ対しての批評性が感じられる様な建築になればいいなと。「空間性」でいいきる設計は現代まったく評価されないらしいけど、解った上であえて正面突破という道も卒制としてはダメ?(じゃないよね)

・久保田さん
プログラムに破綻がない分、個性派ぞろいのなか埋もれてしまったかもしれない。
外部というよりはインテリアデザインとしての評価をしたいところなのだが、細やかな設計をしている割にティピカルなインテリアデザインであるのが悔やまれる。
プログラムに機能に添った解決なのだから、その機能をもった新しい形のインテリアの表現が必要。
普通に椅子/テーブル/棚/キッチンなど一度その機能を分解したうえで、再編集する新しい内部空間を見せた欲しい。

・内田さん
質の高いコミュニティーを持たせる為のコレクティブハウスの解法として、ランドリーとピロティーに着目をしたのはその土地に住んだからこそのアイディアで個人体験としてのリアリティを感じる。
一方シンガポールのバロック様式?(本当?)がソースとの建築自体は割と植民地化された南方のアジアでは良く見られる形態に見えてしまうのだが、軒の短さだったり、オープンデッキは暑くてどうなんだろうとかの疑問も。
また、都市住宅としてのもっと高密度化は避けられないようにも思うが・・・富裕層向けではなさそうだし。そういった現在のコンテクストを、現在の建築言語「も」取り入れながら建築にして欲しかった。未来の為には。

・内山さん
フォルムも表現も質が高い。惜しむらくは建築としてのフィジビリティがプレゼンされていない事。
このスケール感で集合住宅のファサードを成立させるためには、その裏側の計画をよほど旨くやらないと実現できそうにないのでは。書き割りっぽくみえてしまう。中間層に商業を挟んだりしても面白そう。

・伊藤さん
黒変態。エネルギーもあって興味はわく。こういった突き抜けた位相のアイディアはどうやって社会との接点をもさせたり価値を見いだすかという部分をもたない限りは評価軸にのりにくい。
建築も同じだけれど演劇によって何を表現したいのか・・・。プレゼ時間が短いので難しいかもしれないけれどシナリオライテイングがあれば、もっと良く理解できただろうと思う。

以上。

いくつかは、個人賞とかあげたいですね。