2016年4月より、佐藤可士和氏率いる株式会社サムライ のメンバーとして活動していくことになりました。>「ご挨拶とご報告」

glass less house

Category: architecture, unrealized_project — Posted by SA at July 22, 2008

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自然の変化を室内から排除することで快適さを求めた現代の住宅は、環境に負荷を担わせることになりました。
「あるがままに自然に従いながら」というパッシブの考えをもとに自然の力で快適を得るシステムを考えます。
家を覆う葉は雨水を保水→放出(気化)することで温度を下げ、葉に反射した光はガラスのないこの家を光で溢れさせます。
ガラスや扉によって自然を遮断することなく、カーテンを重ねることにより室内の快適を調節するglass less houseは、人が自然と離れずに生きることを目指します。
「グラスレス」には、まだまだ他のソリューションも存在する筈。ライフワークのようにいろいろと考えています。



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glass less house

近代の建築の3大素材の一つである「透明板ガラス」。いわゆるエコ建築と呼ばれるものには高性能化された
複雑なスペックをもつ板ガラスが多用されています。絶対的な価値と利便を誇るこの板ガラス、
サステナビリティという点からは大きな2つの問題点を内包しています。

1,素材単体の循環系としての問題点
素材としてのリサイクルという点からすると、高性能化されたガラスは複合材料であり、ガラス to ガラスへの
再組成が非常に困難です。また、応力集中による劣化を考えると、その信頼性が最大の魅力である建築の
ウィンドウとしての再利用も実際は行われることはありません。無機材料であるが故、製造負荷が大きい事も
無視できない点です。

2,地球環境の循環系としての問題点
 こちらの方がより本質的な問題です。「透明で固い」ガラスを用いる事で建築のデザインは飛躍的な進化と
均質化を遂げましたが、一方でそれは設計技術の堕落とも言えます。風を防ぎ、太陽熱を取り入れることができる
「閉鎖系」の建築を簡単に創り出せることになった結果として、「いかに快適に個人が過ごせるか」を外界と
断絶された室内で充足させるための建築が乱立してしまいました。
「夏の冷房の使用は地球を暖房している」というのは決して比喩ではなく、熱力学としての事実であります。
人々の感性としても、安全地帯(ガラスの手前)に立ちながら、眺望と採光を得るだけというワンウェイな
関係性は、地球環境の循環系の一部を我々人間が担っているとは決して言うことはできないでしょう。

普段、生業として建築/内装のデザインを行う者として、この状況をブレイクスルーしたいと日々考えて来ました。
そこでいったん近代建築の進化の立役者である「透明板ガラス」にステージを降りてもらうことで、
別の新しい進化が建築に起こるのではないかと想像したことからこの試みは始まりました。

ソリューション
ガラスを無くすことで、開放系の循環を作ることに加えて、住むに足りうる性能、人々を煽動できる新しいフォルム、そして次世代への進化のベクトルがなければ、それは建築でもアートでもありません。
グラスレス・ハウスでデザインしているのは「ブナの林」の機能を現代のテクノロジ−で再現することです。
保水、放出、呼吸。高性能な葉が創り出すブナ林は穏やかな環境を通年保つ事ができます。
この機能を現代のナノ・テクノロジーで開発された人口繊維に代替させることで、気化熱を利用した住宅の存在を可能にします。気化熱は、建築単体から地球レベルに通底する環境配慮の手法であり、他のビルディングタイプへの応用も期待できます。
ファブリックによる柔らかな建築のフォルムは、新しい時代の開放系建築を牽引するアイコンとして、周囲への環境配慮への啓蒙を積極的に担っていきます。

開放系のグラスレス・ハウスが、物理的な環境対策の解決にととまらず、閉鎖系の室内で内向的になっていった人間個々のメリットの追求を、周囲の、そして地球のメリットへと変えていく起点になることを目標にしています。